眼の障害認定基準について

障害の区分は3つ

眼の障害は、3つの区分に分かれていて、それぞれ認定基準などが決まっています。

  • 視力障害
  • 視野障害
  • その他の障害

 視力障害 -「ものを見分る力」の障害 -

視力とは、「ものを見分ける力」のことです。めがねやコンタクトなどによって矯正しても一定の視力まで回復が期待できないと、ものを見分ける力が落ちてしまいます。この状態を「視力障害」といいます。

認定基準 ~ 障害の等級とそのめやす ~

障害の程度

障害の状態
1級
  • 視力の良い方の眼の視力が 0.03 以下
  • 視力の良い方の眼の視力が 0.04 
  • 他方の眼の視力が手動弁以下
2級
  • 視力の良い方の眼の視力が 0.07
  • 視力の良い方の眼の視力が 0.08
  • 他方の眼の視力が手動弁以下
3級
  • 視力の良い方の眼の視力が 0.1 以下
障 害
手当金
  • 視力の良い方の眼の視力が 0.6 以下
  • 一眼の視力が 0.1 以下のもの 

認定要領 ~ 認定や判断の詳細 ~

  • 視力は、万国式試視力表、またはそれと同じ原理に基づく試視力表を使って測定します。
  • 視標面照度は 500~1,000 ルクス、視力検査室の明るさは 50 ルクス以上で視標面照度を上回らないこととし、試視力表から5mの距離で視標を判読することによって行います。
  • 屈折異常(近視・遠視・乱視)の場合は矯正視力で認定しますが、この場合最良視力が得られる矯正レンズを使って得られた視力を測定します。
  • 眼内レンズ挿入眼は裸眼と同じように扱い、屈折異常がある場合は適正に矯正した視力を測定します。
  • 両眼の視力を別々に測定し、良い方の眼の視力と他方の眼の視力とで障害の程度を認定します。
  • 屈折異常の場合でも次のいずれかに該当するものは、裸眼視力により認定します。
  • 矯正が不能のもの
  • 矯正により不等像視を生じ、両眼視が困難となることが医学的に認められるもの
  • 最良視力が得られる矯正レンズの装用が困難であると医学的に認められるもの
  • 視力が 0.01 に満たないもののうち、明暗弁のもの又は手動弁のものは視力 0 として 計算し、指数弁のものは 0.01 として計算します。

【明暗弁、手動弁、指数弁について】

  • 明暗弁 → 光は感じるので明るいか暗いかはわかる
  • 手動弁 → 眼の前で手を動かしていることがわかる
  • 指数弁 → 眼の前で示した指の本数がわかる

視野障害 -「眼が見える範囲」の障害 -

視野とは、「眼が見える範囲」のことです。この上下左右の見える範囲が、狭くなったり一部が欠けたりする状態を「視野障害」といいます。

なお、視野の障害認定は、

  • ゴールドマン型視野計
  • 自動視野計

どちらか一方の測定結果で行うこととなっており、両方の測定結果を混在させて認定することは出来ません。

認定基準 ~ 障害の等級とそのめやす ~

ゴールドマン型視野計の測定結果を使う場合

障害の程度

障害の状態
1級
  • 両眼のI/4 視標による周辺視野角度の和がそれぞれ  80  度以下
  • I/2視標による両眼中心視野角度が  28  度以下
2級
  • 両眼のI/4 視標による周辺視野角度の和がそれぞれ  80  度以下
  • I/2視標による両眼中心視野角度が  56  度以下
  • 求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、Ⅰ/2の視標で両眼 の視野がそれぞれ 5 度以内におさまるもの
    (面積は厳密に計算しなくてよい)
3級
  • 両眼のI/4 視標による周辺視野角度の和がそれぞれ  80  度以下
障 害
手当金
  • 両眼による視野が2分の1以上欠損したもの
  • I/2視標による両眼中心視野角度が 56 度以下
自動視野計の測定結果を使う場合
障害の程度 障害の状態
1級
  • 両眼開放視認点数が  70  点以下
  • 両眼中心視野視認点数が  20  点以下
2級
  • 両眼開放視認点数が  70  点以下
  • 両眼中心視野視認点数が  40  点以下
3級
  • 両眼開放視認点数が  70  点以下
障 害
手当金
  • 両眼開放視認点数が 100  点以下
  • 両眼中心視野視認点数が  40  点以下

認定要領 ~ 認定や判断の詳細 ~

ゴールドマン型視野計について
  • ゴールドマン型視野計では、中心 30 度内は矯正レンズを使用し、 30 度外は矯正 レンズを使用せずに測定します。
  • ゴールドマン型視野計の結果は、診断書に添付します。
  • 傷病名と視野障害の整合性の確認が必要な場合、またはⅠ/4の視標で測定不能の場合は、Ⅴ/4の視標による視野を確認した上で総合的に認定します。
  • それぞれ以下によって測定した、
  • 「周辺視野角度の和」
  • 「両眼中心視野角度」
  • 「求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、 Ⅰ/2の視標で両眼の視野がそれぞれ5度以内におさまるもの」
  • 「両眼による視野 が2分の1以上欠損したもの」

に基づき、認定を行います。

「周辺視野角度の和」とは、Ⅰ/4の視標による8方向(上・内上・内・内下・ 下・外下・外・外上の 8 方向)の周辺視野角度の合計。

  • 8 方向の周辺視野角度 はⅠ/4視標が視認できない部分を除いて算出する。
  • Ⅰ/4の視標で、周辺にも視野が存在するが中心部の視野と連続しない部分は、 中心部の視野のみで算出する。
  • Ⅰ/4の視標で、中心  10  度以内に視野が存在しない場合は、周辺視野角度の和 が  80  度以下として取り扱う。

「両眼中心視野角度」とは、以下の手順に基づき算出したもの。

  1. Ⅰ/2の視標による 8 方向(上・内上・内・内下・下・外下・外・外上の 8 方向) の中心視野角度の和を左右眼それぞれ求める。
    ( 8 方向の中心視野角度はⅠ/2視 標が視認できない部分を除いて算出する。)
  2. 1. で求めた左右眼の中心視野角度の和に基づき、次式により、両眼中心視野角度を計算する。
    (小数点以下は四捨五入し、整数で表す)

両眼中心視野角度=
(3 × 中心視野角度の和が大きい方の眼の中心視野角度の和  + 中心視野角度の和が小さい方の眼の中心視野角度の和 ) / 4 

(注)Ⅰ/2の視標で中心 10 度以内に視野が存在しない場合は、中心視野角度 の和は 0 度として取り扱う。

求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、Ⅰ/2の視標で両眼の視野 がそれぞれ 5 度以内におさまるもの」とは、求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、Ⅰ/2の視標による視野の面積が、中心 5 度以内の視野の面積と同じ程度におさまるもの。

両眼による視野が 2 分の 1 以上欠損したもの」とは、両眼で一点を注視しつつ 測定した視野が、生理的限界の面積の 2 分の 1 以上欠損しているもの。 
左右眼それぞれに測定したⅠ/4の視標による視野表を重ね合わせることで、両眼 による視野の面積を得る。

自動視野計について
  • 自動視野計では、10 - 2 プログラムは適宜矯正レンズを使用し、両眼開放エスターマンテストは矯正眼鏡を装用せずに実施します。
  • 自動視野計の結果は、診断書に添付します。
  • 自動視野計を用いて測定した場合において、認定上信頼性のある測定が困難な場合は、ゴールドマン型視野計で測定し、その測定結果により認定を行います。
  • それぞれ以下によって測定した「両眼開放視認点数」及び「両眼中心視野視認点数」に基づき、認定を行います。
図1
両眼開放エスターマンテスト
図2
  10 - 2 プログラム

「両眼開放視認点数」とは、視標サイズⅢによる両眼開放エスターマンテスト(図 1)で  120  点測定し、算出したものをいう。

両眼中心視野視認点数」とは、以下の手順に基づき算出したものをいう。

  1. 視標サイズⅢによる 10 - 2  プログラム(図2)で中心  10  度以内を2 度間隔で 68  点測定し、左右眼それぞれについて感度が  26 dB 以上の検査点数を数え、左右眼そ れぞれの中心視野視認点数を求める。なお、dB の計算は、背景輝度  31.5 asb で、 視標輝度 10,000 asb を 0dB としたスケールで算出する。
  2. 1. で求めた左右眼の中心視野視認点数に基づき、次式により、両眼中心視野視 認点数を計算する。
    (小数点以下は四捨五入し、整数で表す)

    両眼中心視野視認点数=
    (3 × 中心視野視認点数が多い方の眼の中心視野視認 点数 + 中心視野視認点数が少ない方の眼の中心視野視 認点数 )/ 4

その他の障害 - 眼球やまぶたの運動の障害など -

その他の障害」とは、まぶたや眼球、瞳孔の運動障害そのものや、眼の調整機能などにより複視や眼精疲労による頭痛が生じ、その結果、生活に支障が出ている状態をいいます。

認定基準 ~ 障害の等級とそのめやす ~

障害の程度 障害の状態

障 
手当金

  • 普通にまぶたを閉じた場合に角膜を完全に覆い得ない程度のもの
  • 眼の調節機能および輻輳機能の障害のため複視や眼精疲労による頭痛などが生じ、読書などが続けられない程度のもの
  • 「まぶたの運動障害」のうち、眼瞼痙攣などで常時両眼のまぶたに著しい運動障害を残すことで作業などが続けられない程度のもの
  • 「眼球の運動障害」のうち、麻痺性斜視で複視が強固のため片眼に眼帯をしないと生活ができないため、労働が制限される程度のもの
  • 「瞳孔の障害」のうち、散瞳している状態で瞳孔の対光反射の著しい障害により羞明(まぶしさ)を訴え、労働に支障をきたす程度のもの

認定における留意点

  • 視力障害、視野障害、まぶたの欠損障害、調節機能障害、輻輳機能障害、まぶたの運動障害、眼球の運動障害または瞳孔の障害が併存する場合には、併合認定の取扱いを行います。
  • 障害手当金に該当する程度の障害の状態であっても傷病が治っておらず(症状固定しておらず)症状進行中のものについては、3級に該当します。

障害者手帳との関係

障害年金の障害年金の等級と身体障害者手帳の等級は認定基準が違うため、それぞれの基準により等級や支給(交付)の可否が決定されます。以下に認定基準例を挙げます。

視力障害

障害年金 身体障害者手帳
1級
  • 視力の良い方の眼の視力が 0.03  以下のもの 
  • 視力の良い方の眼の視力が 0.04  、かつ、他方の眼の視力が手動弁以下のもの
1級
  • 良い方の眼の視力が 0.01 以下のもの
2級
  • 良い方の眼の視力が 0.02 以上 0.03 以下のもの
  • 良い方の眼の視力が 0.04 かつ他方の眼の視力が手動弁以下のもの
2級
  • 視力の良い方の眼の視力が  0.07  以下のもの
  • 視力の良い方の眼 の視力が  0.08  かつ、他方の眼の視力が手動弁以下のもの 
3級
  • 視力の良い方の眼の視力が 0.04 以上 0.07 以下のもの(2級の2に該当するものを除く。)
  • 視力の良い方の眼の視力が 0.08 、かつ、他方の眼の視力が手動弁以下のもの
3級
  • 視力の良い方の眼の視力 が  0.1  以下のもの
4級
  • 視力の良い方の眼の視力が 0.08 以上 0.1以下のもの(3級の2に該当するものを除く。)

障 害

手当金

  • 視力の良い方の眼の視力 が  0.6 以下のもの
  • 一眼の視力が  0.1  以下のもの 
5級
  • 視力の良い方の眼の視力が 0.2 、かつ、他方の眼の視力が 0.02 以下のもの
6級
  • 視力の良い方の眼の視力が 0.3 以上 0.6 以下、かつ、他方の眼の視力が 0.02 以下のもの 

視野障害(ゴールドマン型視野計)

障害年金 身体障害者手帳
1級
  • 両眼のI/4 視標による周辺視野角度の和がそれぞれ  80  度以下、かつ 、I/2視標による両眼中心視野角度が  28  度以下のもの
1級

2級
  • 周辺視野角度(Ⅰ/4視標による。以下同じ。)の総和が左右眼それぞれ  80  度以下かつ両眼中心視野角度(Ⅰ/2 視標による。以下同じ。)が  28  度以下のもの
2級
  • 両眼のI/4 視標による周辺視野角度の和がそれぞれ  80  度以下、かつ、I/2視標による両眼中心視野角度が  56  度以下のもの 
  • 身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められる状態 であって、日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの 
3級
  • 周辺視野角度の総和が左右眼それぞれ  80  度以下、かつ、両眼中心視野角度が  56  度以下のもの
3級
  • 両眼のI/4 視標による周辺視野角度の和がそれぞれ  80  度以下に減じたもの
4級
  • 周辺視野角度の総和が左右眼それぞれ  80  度以下のもの

障 害

手当金

  • 両眼による視野が2分の1以上欠損したもの
  • I/2視標に よる両眼中心視野角度が  56  度以下に減じたもの 
5級
  • 両眼による視野の2分の1以上が欠けているもの
  • 両眼中心視野角度が  56  度以下のもの
6級

視野障害(自動視野計)

障害年金 身体障害者手帳
1級
  • 両眼開放視認点数が  70  点以下、かつ、両眼中心視野視認点数が  20  点以下のもの
1級
2級
  • 両眼開放視認点数が 70 点以下、かつ、両眼中心視野視認点数が 20 点 以下のもの
2級
  • 両眼開放視認点数が  70  点以下、かつ、両眼中心視野視認点数が  40  点以下のもの
3級
  • 両眼開放視認点数が 70 点以下、かつ、両眼中心視野視認点数が 
    40 点以下のもの
3級
  • 両眼開放視認点数が  70  点以下に減じたもの
4級
  • 両眼開放視認点数が 70 点以下のもの

障 害

手当金

  • 両眼開放視認点数が  100  点以下に減じたもの
  • 両眼中心視野視認点数が  40  点以下に減じたもの 
5級
  • 両眼開放視認点数が 70 点を超え、かつ、 100 点以下のもの
  • 両眼中心視野視認点数が 40 点以下のもの
6級

対象となる傷病例

緑内障白内障、網膜色素変性症、ぶどう膜炎、視野狭窄眼球委縮、両錐体ジストロフィー、ベーチェット病(眼に症状が出る場合)、多発性硬化症(眼に症状が出る場合)、糖尿病性網膜症網膜はく離、眼球破裂、など

障害認定基準

眼の障害認定基準(原文)は下のリンクからも見ることができます。

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