腎疾患の障害認定基準について

認定基準 ~ 障害の等級とそのめやす ~

障害の程度

障害の状態
1級
  • 長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
2級
  • 長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受ける、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの 
3級
  • 身体の機能に、労働が制限を受けるか、または労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの

腎疾患の障害の程度は、自覚症状、他覚所見、検査成績、一般状態、治療及び病状の経過、人工透析療法の実施状況、具体的な日常生活状況などにより、総合的に認定するものとし、当該疾病の認定の時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものとされています。

障害等級の例

腎疾患の障害各等級に相当すると認められるものを一部例示すると、次のとおりです。

障害の程度

障害の状態
1級
  • 慢性腎不全の検査成績が高度異常を1つ以上示すもの
  • 一般状態区分表のオに該当するもの
2級
  • 慢性腎不全の検査成績が中等度または高度の異常を1つ以上示すもの
  • 一般状態区分表のエまたはウに該当するもの
  • 人工透析療法施行中のもの
3級
  • 慢性腎不全の検査成績が軽度、中等度または高度の異常を1つ以上示すもの
  • 一般状態区分表のウまたはイに該当するもの
  • ネフローゼ症候群の検査成績のうちアが異常を示すもの
  •         〃     イまたはウのいずれかが異常を示すもの
  • 一般状態区分表のウまたはイに該当するもの

障害の状態の判断基準

一般状態区分

区分 一般状態
  • 無症状で社会活動ができる。
  • 制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるも。
  • 軽度の症状がある。
  • 歩行、軽労働や座業はできるもの (例えば、軽い家事、事務など) 
  • 肉体労働は制限を受ける。
  • 歩行や身のまわりのことはできる
  • 時に少し介助が必要なことがある。
  • 日中の50%以上は起居している。
  • 軽労働はできない。
  • 身のまわりのある程度のことはできる
  • しばしば介助が必要である。
  • 日中の50%以上は就床している。
  • 自力では屋外への外出等がほぼ不可能である。
  • 身のまわりのことができない。
  • 常に介助を必要とする。
  • 終日就床を強いられる。
  • 活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られる。

臨床所見

腎疾患の主要症状は、次の自覚症状と他覚症状があります。

  • 自覚症状・・・悪心、嘔吐、食欲不振、頭痛など
  • 他覚症状・・・浮腫、貧血、アシドーシスなど

検査成績

検査は、尿検査、血球算定検査、血液生化学検査(血清尿素窒素、血清クレアチニン、血清電解質等)、動脈血ガス分析、腎生検などがあります。

慢性腎不全の検査項目および異常値

区分 検査項目 単位 軽度異常 中等度異常 高度異常
内因性クレアチニン
クリアランス
mL/分

20以上
30未満

10以上
20未満
10未満
血清クレアチニン mg/dL 3以上
5未満
5以上
8未満
8以上

(注)eGFR(推算糸球体濾過量)が記載されていれば、血清クレアチニンの異常にかえて、eGFR(単位は ml/分/1.73 ㎡)が 10 以上 20 未満のときは軽度異常、10 未満のときは中等度異常と取り扱うことも可能としています。

ネフローゼ症候群の検査項目および異常値

区分 検査項目 単位 異常
尿蛋白量
(1日尿蛋白量、
または、尿蛋白/尿クレアチニン比)

g/日
または
g/gCr

3.5以上を持続する

血清アルブミン(BCG法) g/dl 3.0以下
血清総蛋白 g/dl 6.0以下

認定における留意点

人工透析の取扱い

  • 人工透析療法施行中のものは2級と認定されます。
  • なお、主要症状、人工透析療法施行中の検査成績、長期透析による合併症の有無とその程度、具体的な日常生活状況などによっては、さらに上位等級に認定されます。
  • 障害の程度を認定する時期は、人工透析療法を初めて受けた日から起算して3月を経過した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とされます。

腎臓移植の取扱い

  • 腎臓移植を受けたものにかかる障害認定に当たっては、術後の症状、治療経過、検査成績および予後などを十分に考慮して総合的に認定されます。
  • 障害年金を支給されている者が腎臓移植を受けた場合は、臓器が生着し、安定的に機能するまでの間を考慮して術後1年間は従前の等級とされます。

その他の注意点

  • 検査成績は、その性質上変動しやすいものであるので、腎疾患の経過中において最も適切に病状をあらわしていると思われる検査成績に基づいて認定を行うものとされています。 
  • 糸球体腎炎(ネフローゼ症候群を含む)、腎硬化症、多発性嚢胞腎、腎盂腎炎に罹患 し、その後慢性腎不全を生じたものは、両者の期間が長いものであっても、相当因果関 係があるものと認められます。
  • 腎疾患は、その原因疾患が多岐にわたり、それによって生じる臨床所見、検査所見も、 また様々なので、検査成績によるほか、合併症の有無とその程度、他の一般検査および特殊検査の検査成績、治療および病状の経過なども参考とし、認定時の具体的な日常生活状況などを把握して総合的に認定することとされています。

対象となる傷病例

人工透析、腹膜透析、慢性腎不全、糖尿病性腎症、慢性腎炎、慢性糸球体腎炎(ループス腎炎)、腎機能障害、IgA腎症、ネフローゼ症候群、腎のう胞、糖尿病など

障害認定基準

日本年金機構が発出している腎疾患の障害認定基準(原文)は下のリンクからも見ることができます。

無料相談実施中

初回相談は無料です。

面談ご希望の方は事前予約をお願します。
ご予約はお電話・お問合せフォームから受け付けております。

お電話でのお問合せ

090-1781-3146

<受付時間>
9:00  ~ 18:00
(土日祝祭日は除く)

すずき社会保険労務士事務所

〒961-0857
福島県白河市中田

定休日:土曜・日曜・祝日
営業時間:9:00~18:00