ヒト免疫不全ウイルス感染症による障害認定基準について

障害の区分は2つ

ヒト免疫不全ウイルス感染症による障害は、2つの区分に分かれています。

  • ヒト免疫不全ウイルス感染症とその続発症による労働および日常生活上の障害
  • 副作用等治療の結果として起こる労働および日常生活上の障害

認定基準 ~ 障害の等級とそのめやす ~

障害の程度

障害の程度のめやす
1級

次のすべてを満たすこと

ア CD4値が200/μl以下

イ 下記検査項目(2~5)のうち、3つ以上を満たす

ウ 下記身体状況等項目のうち、4つ以上を満たす

回復不能なエイズ合併症のため介助なくしては日常生活がほとんど不可能な状態(注1)である

2級

次のすべてを満たすこと

ア CD4値が200/μl以下

イ 下記検査項目(2~5)のうち、2つ以上を満たす

ウ 下記身体状況等項目のうち、3つ以上を満たす

次のすべてを満たすこと

 ア CD4値が200/μl以下

 イ エイズ発症の既往歴がある 

3級

次のすべてを満たすこと

ア CD4値が350/μl以下

イ 下記検査項目(2~5)のうち、2つ以上を満たす

ウ 下記身体状況等項目のうち、2つ以上を満たす

次のすべてを満たすこと

 ア CD4値が350/μl以下

 イ エイズ発症の既往歴がある

検査所見

  検査所見
CD4 陽性Tリンパ球数(4週以上の間隔をおいた連続する2回 の検査値の平均値)
白血球数:3,000 /μℓ未満 4週以上の間隔をおいた検査において連続して2回以上続く 
ヘモグロビン量:男性 12g /dℓ未満、女性 11 g /dℓ未満
血小板数:10万 /μℓ未満
HIV―RNA 量:5,000 コピー/mℓ以上

身体症状等

  身体症状等
1 日 1 時間以上の安静臥床を必要とするほどの強い倦怠感及び易疲労感 が月に 7 日以上ある 
病態の進行のため、健常時に比し 10%以上の体重減少がある
月 7 日以上の不定の発熱(38℃以上)が 2 ヶ月以上続く
1 日に 3 回以上の泥状ないし水様下痢が月に 7 日以上ある
1 日に 2 回以上の嘔吐あるいは 30 分以上の嘔気が月に 7 日以上ある
動悸や息苦しくなる症状が毎日のように出現する
抗HIV療法による日常生活に支障が生じる副作用がある (1~6の症状を除く)(抗HIV療法を実施している場合)
生鮮食料品の摂取禁止等の日常生活活動上の制限が必要である
1年以内に口腔内カンジダ症、帯状疱疹、単純ヘルペスウイルス感染症、 伝染性軟属腫、尖圭コンジローム等の日和見感染症の既往がある 
10 医学的理由(注2)により抗HIV療法ができない状態である

(注1)「回復不能なエイズ合併症のため介助なくしては日常生活がほとんど不可能な状態」とは、エイズ合併症(「サーベイランスのためのHIV感染症/AIDS診断基準」(厚生省エイズ動向委員会,1999)が採択した指標疾患としてあげられている合併症」)が回復不能に陥り、日常生活のほとんど全てが介助なしでは過ごすことができない状態をいう。

(注2)「医学的理由」とは、投薬による肝障害、白血球数減少などの副作用などの医学的事項によるものをいう。

障害の認定に際しては、続発性(ヒト免疫不全ウイルス消耗症候群、日和見感染症など)の有無およびその程度やCD4値などの免疫機能の低下の状態を含む検査所見、治療および症状の経過を十分考慮し、労働および日常生活上の障害を総合的に判断するほか、上記「障害の程度の目安」により障害の程度を判断し、これらのうち上位等級で認定することとされています

障害等級の例

ヒト免疫不全ウイルス感染症の障害各等級に相当すると認められるものを一部例示すると、次のとおりです。

障害の程度 障害の状態
1級
  • 回復困難なヒト免疫不全ウイルス感染症およびその合併症の結果、生活が室内に制限されるか日常生活に全面的を要するもの 
2級
  • エイズの指標疾患や免疫不全に起因する疾患または症状が発生するか、その既往が存在する結果、治療または再発防止療法が必要で、日常生活が著しく制限されるもの 
3級
  • エイズ指標疾患の有無にかかわらず、口腔カンジダ症などの免疫機能低下に関連した症状が持続するか繰り返す結果、治療または再発防止療法が必要で、労働が制限されるもの

認定における留意点

  • 検査所見および臨床所見については、ヒト免疫不全ウイルス感染症の特性を踏まえ、以下の項目を考慮し、認定されます。
    ・疲労感、倦怠感、不明熱、体重減少、消火器症状の程度、出現頻度、持続時間
    ・日和見感染症、悪性腫瘍の種類、重症度、既往、出現頻度
    ・CD4値、ヒト免疫不全ウイルス-RNA定量値、白血球数、ヘモグロビン量、血小板数の状況
    ・治療の状況(治療薬剤、服薬状況、副作用の状況)

対象となる傷病例

ヒト免疫不全ウイルス感染症

障害認定基準

日本年金機構が発出している「ヒト免疫不全ウイルス感染症に係る障害認定における留意事項の追加について(通知)」(原文)でもヒト免疫不全ウイルス感染症による障害認定基準を確認できます。

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