2025/4/4

働きながら年金を受け取る場合、収入に応じて年金の支給額が見直される仕組みとされる在職老齢年金。
令和7年4月分からの在職老齢年金について、支給停止調整額が「50万円」から「51万円」へと引き上げられました。
これは、60歳以降も働きながら老齢厚生年金を受け取っている方にとって、大切な変更点です。
給与と年金の合計がこの基準額を超えると、年金の一部がカットされる仕組みとなっており、今回の改正はその“支給停止ライン”が1万円分緩和されたことを意味します。
今回は、この「在職老齢年金」の仕組みや具体的な計算方法について、できるだけわかりやすく解説していきます!
在職老齢年金とは?
「在職老齢年金」とは、60歳以降も働き続ける方が、給与(賞与を含む)と年金の合計額が一定の基準を超えると、年金の一部または全部が支給停止となる制度です。
どんな人が対象?
以下の条件を満たす方が対象となります。
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60歳以上で厚生年金保険に加入している
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老齢厚生年金を受給している
支給停止の基準額は?

「在職老齢年金」では、年金と給与の合計額が支給停止調整額を超えると、年金の一部が減額または停止されます。
令和7年(2025年)4月分から、この支給停止調整額が「50万円」から「51万円」へ引き上げられました。
これは、働きながら年金を受け取る方への一定の配慮とも言えます。たとえば、わずかに基準を超えることで大きな減額が発生していた方にとって、若干の緩和となります。
計算方法は?

支給停止額の計算は以下のように行われます:
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基本月額:老齢厚生年金の月額(報酬比例部分)
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総報酬月額相当額:標準報酬月額+過去1年間の標準賞与額の平均
これらを合計し、51万円を超える場合、以下の計算式で支給停止額が決まります。
支給停止額 = (基本月額 + 総報酬月額相当額 - 51万円) ÷ 2
この支給停止額が基本月額を上回る場合、年金は全額支給停止となります。
具体例で見てみましょう

Aさんの場合:給与38万円(月額)、賞与144万円(年間)、
老齢厚生年金14万円(月額)、老齢基礎年金6万円(月額)
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給与と老齢厚生年金の合計:(38万円+12万円)+14万円=64万円 ・・・※
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支給停止調整額(51万円)からの超過分:64万円-51万円=13万円
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支給停止額:13万円 ÷ 2=6.5万円
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実際の支給額:
在職老齢年金 →(14万円-6.5万円=)7.5万円
老齢基礎年金 → 6万円
給与(賞与含)→ 50万円 本人の収入合計 63.5万円
このように、年金の一部が支給停止となります。
※在職老齢年金の計算の対象となる給与には、1月あたりの賞与額(1年間の賞与を12で割った金額)を含みます。また、税金等を控除する前の額で計算されます。
まとめ
在職老齢年金は、働きながら年金を受け取る際の調整制度です。支給停止の基準額や計算方法を理解し、老後のライフプランを立てる際の参考にしてください。
詳細な情報や個別のケースについては、日本年金機構の公式ページをご参照ください。